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遺言書作成・相続手続・成年後見

会社経営者のための事業承継と公正証書遺言

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こんにちは、行政書士・上級相続診断士の山田です。


今回は「会社経営者の方が、次世代への事業承継と家族への円満な相続をどのように実現していくか」について、実際のご相談事例をもとに解説いたします。


少子高齢化が進む現代、企業経営者にとって「自分が築き上げた会社を誰に引き継ぐか」は非常に重要なテーマです。そしてその引継ぎが、会社だけではなくご家族の生活、財産、そして人間関係にまで影響を及ぼす可能性があるため、法的な手続きと家族への思いやりの両方が欠かせません。

目次

事業承継を考える経営者と家族構成

 今回のご相談者は、70代の男性経営者の方。製造業を営んでおられ、創業から30年以上にわたって会社を一人で切り盛りしてきました。会社の株式は全てこの男性が100%保有しており、まさにオーナー経営者です。

 ご家族は、奥様と、奥様との間に授かった三人のお子様──長男、長女、そして次男──がいらっしゃいます。

 このうち、次男の方が10年ほど前から会社に入社し、現在は専務取締役として現場や経営にも深く関与しています。父としては、当然この次男に将来会社を継がせたいという強い思いをお持ちです。

事業承継に向けた株式の段階的移転

 ご相談者の希望は明確でした。

 「次男に株式をすべて譲りたい。ただ、一度に100%を譲渡しても資金的な負担が大きいので、数年かけて少しずつ売却していき、最終的に100%次男が取得する形にしたい」

 ここで重要なのが「贈与ではなく売却」という点です。贈与であれば贈与税が高額になる恐れがありますが、売却であれば所得税の取扱いとなり、トータルの税負担が軽くなる可能性があります。また、適正な価格で取引すれば、他の兄弟姉妹から「ただでもらった」といった不満も生じにくくなります。

 ただし、段階的に売却する場合には「自社株評価」にも注意が必要です。会社の業績や利益によって株価が上下するため、贈与税や譲渡所得税の試算も含め、毎年の評価額を確認しながら進めることが不可欠です。

長男・長女の心情に配慮する遺言書の必要性

 株式を次男に集中させることで、どうしても生じるのが「他の兄弟姉妹の不公平感」です。

 たとえば「長男は跡継ぎなのに何ももらえないのか」「長女も同じ子供なのに扱いが違う」という思いが将来的なトラブルの火種になりかねません。

 そこでご提案したのが「公正証書遺言」の作成です。

 公正証書遺言では、遺言者の意思を明確にし、法律的にも有効な形で財産の分配を定めることができます。特に今回のように「事業承継」と「家族への配慮」の両立が求められるケースでは、遺留分(※相続人が最低限取得できる法的な取り分)にも配慮した設計が不可欠です。

遺留分に関する対策と配分の工夫

 相続人には「遺留分」が認められており、たとえば相続人が配偶者と子3人であれば、それぞれに法定相続分の1/2(つまり全体の1/4ずつ)が保障されます。

 つまり、仮に次男に会社株式すべてを相続・取得させた場合、長男・長女は法的に「自分の遺留分が侵害された」として、**遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)**をすることができてしまいます。

これを避けるためには、

・他の財産(預貯金や不動産)を長男・長女に充当する

・遺言の中で、説明を丁寧に記載し、思いを伝える

・必要に応じて「付言事項」で家族への感謝や経営の意図を記載する

など、法的対応と感情的配慮の両面が大切になります。

奥様の生活費も考慮に入れる

 さらに経営者の方が心配していたのが「自分が亡くなった後、妻の生活は大丈夫だろうか?」という点です。

 この点に対しては、遺言書で奥様にある程度の現金・不動産・配当権のある株式などを残すことで対応できます。特に「配当を受け取れる株式を一部残す」ことで、奥様に定期的な収入がある状況をつくることも可能です。

 また、遺言執行者を指定しておくことで、遺言の実現をスムーズに進めることができます。遺言執行者は専門家(行政書士や弁護士)を選任することが多く、相続手続きの際にご家族が揉めることを防ぐ役割も担います。

公正証書遺言のメリット・デメリット

 最後に、公正証書遺言を利用するメリットとデメリットを整理してみましょう。

メリット
・公証人が作成に関与するため、法的に無効となるリスクが非常に低い

・原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの心配がない

・家庭裁判所の検認が不要なため、相続手続きをすぐに進められる

・付言事項などで家族への思いを伝えることができる

デメリット
・費用がかかる(財産額によって数万円~数十万円)

・作成に手間と時間がかかる(資料収集・打ち合わせ・証人2名の手配など)

とはいえ、トラブル回避や家族間の信頼維持のためには、その価値は十分にあります。

まとめ:会社と家族、両方の未来を守るために

 事業承継は単なる「株の移転」ではありません。それは、「家族の未来をどう描くか」「家族の関係性をどう守るか」にまで関わる重要なテーマです。

 後継者である次男にスムーズにバトンを渡すためには、法的な対策に加え、長男・長女、奥様それぞれの立場にも心を配る必要があります。

 そしてそのために最も有効なのが「公正証書遺言」です。

 これから事業承継や相続についてお悩みの方は、ぜひ一度、専門家にご相談ください。あなたの大切な会社と家族の未来を守るために、法的な対策と「想いをカタチにする仕組み」をご提案させていただきます。

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