認知症への備えと、任意後見契約の大切さ
こんにちは、行政書士・上級相続診断士の山田です。
本日は「母と子一人の家庭」における認知症への備えと、任意後見契約の大切さについてお話しさせていただきます。
最近ご相談いただいた事例をもとに、同じようなご家庭の方々にもぜひ知っておいていただきたい内容をまとめました。
目次
- ○ 1. 相談事例:「母がそろそろ80歳。認知症が心配です」
- ○ 2. 認知症によって起こる「財産凍結」のリスク
- ○ 3. 任意後見契約とは?
- ○ 4. 任意後見契約のメリット
- ○ 5. 任意後見と併せて検討すべきもの
- ・● 見守り契約・財産管理委任契約
- ・● 公正証書遺言
- ○ 6. 今こそ準備すべきタイミングです
- ○ 7. まとめ:任意後見は「家族の安心を準備する制度」
- ○ 今すぐご相談を!
1. 相談事例:「母がそろそろ80歳。認知症が心配です」
ある日、50代の男性からこんなご相談を受けました。
「母と二人暮らしです。父は早くに他界し、私一人が母の身の回りのことを支えています。
母は最近、物忘れが増えてきて、認知症が心配です。
今は元気ですが、今後、もし判断能力がなくなったときに、母の財産の管理や介護施設への入居手続など、息子である私が対応できるようにしておきたいんです。」
このご家庭では、お母様が80歳を迎える目前で、以下のような状況がありました。
・持ち家のマンション:6,000万円相当(都内・分譲)
・預貯金:500万円
・年金:国民年金のみ(月額6〜7万円程度)
同居する子どもは一人(相談者ご本人)
このような家庭環境では、息子さんが実質的な後見人のような立場で生活の支援を行っていらっしゃいましたが、法的な権限は何もありません。今後、お母様が認知症を発症し、意思能力を失った場合、さまざまな問題が起こり得ます。
2. 認知症によって起こる「財産凍結」のリスク
認知症になると、法律行為ができなくなります。すると次のような事態に陥ります。
・預貯金が引き出せない
・不動産が売れない
・施設の入居契約が結べない
・税務・行政手続が本人でなければできない
つまり、お母様の財産を守り、使っていくべきご本人自身が、使えない状態に陥ってしまうのです。そして家族も、その財産を自由に管理・処分することができません。
この状況を防ぐために有効なのが、「任意後見契約」です。
3. 任意後見契約とは?
任意後見契約とは、将来、自分の判断能力が衰えたときに備えて、信頼できる人(多くは家族)に「財産管理」や「身上保護」を委任する契約です。
本人がまだ元気で、判断能力がしっかりしているうちに契約を交わすことで、認知症発症後にスムーズに後見人が活動を始められるようにできます。
この契約は、公証役場で公正証書として作成する必要があり、以下のような内容を定めておきます。
・任意後見人となる人(例:息子)
・任せる業務の範囲(財産管理、支払い、入退院手続など)
・報酬の有無・金額
・医療や介護に関する希望
そして、実際に本人の判断能力が低下した際は、家庭裁判所に「任意後見監督人」の選任を申し立てます。その後、正式に後見が開始され、後見人は法的な権限を持って本人の支援を行えるようになります。
4. 任意後見契約のメリット
この制度を活用する最大のメリットは「本人の意思で、信頼できる人に将来の支援を託せる」ことです。
法定後見制度(認知症発症後に申し立てを行う制度)では、後見人に第三者の弁護士や司法書士が選ばれることが少なくありません。家族だから当然になれるわけではなく、費用も月2〜3万円かかるケースが多いです。
それに対し任意後見では、本人が「この人に任せたい」と決めた相手(たとえば実の息子さん)を後見人に指定できます。家族なら、余計な費用もかからず、意思疎通もスムーズです。
また、契約内容次第で、生活の支援や医療の意思決定も柔軟に対応してもらえるように設定できます。
5. 任意後見と併せて検討すべきもの
任意後見契約と一緒に検討しておくとよいのが、以下の2つです。
● 見守り契約・財産管理委任契約
任意後見は「判断能力が衰えたあとに発動する制度」です。ですから、元気な間に何かあった場合の備えとして、「見守り契約」「財産管理委任契約」をセットにすることが多いです。
この契約があれば、息子さんが通帳の管理や支払い代行を行うことも可能です。本人が入院した場合の手続きなどもスムーズに行えます。
● 公正証書遺言
お母様の意思がはっきりしているうちに、「誰に財産をどのように渡すか」についても遺言で残しておくと安心です。
任意後見契約と公正証書遺言を併せて用意することで、老後の安心と死後のトラブル防止の両面をカバーできます。
6. 今こそ準備すべきタイミングです
認知症はある日突然、軽度から中度、そして重度へと進行していきます。症状が軽いうちは、「ちょっとした物忘れ」で済みますが、手続きには「判断能力があること」が求められます。
いったん「もう契約は結べません」と判断されると、その後は法定後見制度しか選べなくなります。
今、お母様に判断能力があるうちにこそ、任意後見契約を結んでおくべきなのです。
7. まとめ:任意後見は「家族の安心を準備する制度」
「母が認知症になったらどうしよう」「お金の管理や施設入所の手続きができなくなったらどうしよう」
そんな不安を抱えながら日々を過ごすのではなく、今のうちに法的な準備を整えておくことで、家族みんなが安心できます。
任意後見契約は、単なる制度ではありません。
それは「親子の信頼関係を法的に形にする手段」なのです。
今すぐご相談を!
もしこの記事を読んで、「うちもそろそろ準備したほうがいいかもしれない」と思われた方は、ぜひ一度ご相談ください。
当事務所では、公正証書による任意後見契約のサポートをはじめ、見守り契約・財産管理契約・遺言書作成まで、一貫してお手伝いしております。
初回相談は無料です。お気軽にご連絡ください。
あなたとご家族の未来の安心のために、今すぐ一歩を踏み出しましょう。
行政書士オフィス未来計画
行政書士・上級相続診断士 山田
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