70代男性からのご相談―遺言書とこれからの人生設計
こんにちは、東京都中央区の行政書士・上級相続診断士の山田です。
本日は、70歳代の男性の方からご相談を受けた事例をご紹介しながら、高齢期における遺言書の作成や、今後の人生設計について考えていきたいと思います。
「もう70代だし、先のことを考えなければいけない。でも何から始めたら良いのかわからない」
「妻が数年前に亡くなってから、一人で暮らしているが、この先何かあった時が不安だ」
そんな思いを抱えておられる方は、決して少なくありません。
目次
- ○ ご相談の背景
- ○ 遺言書作成の第一歩
- ○ 任意後見契約で「もしも」に備える
- ○ 見守り契約・死後事務委任契約の併用
- ・見守り契約とは?
- ・死後事務委任契約とは?
- ○ 高齢者の終活における総合的な支援とは?
- ○ まとめ:あなたの「これから」を一緒に考えませんか?
ご相談の背景
今回ご相談に来られたのは、東京都内にお住まいの70代男性A様。数年前に奥様を亡くされ、現在は一人暮らし。お子様は独立して地方に住んでおり、日常的な連絡は取っているものの、将来の生活や財産のことについては、まだ何も準備をしていないとのことでした。
A様が抱える不安は大きく以下のように分けられます。
・自分に万一のことがあった場合、財産を円滑に子どもに引き継げるかどうか
・認知症などで判断能力が低下した場合、誰が支援してくれるのか
・一人で生活する中で、緊急時の対応がどうなるのか
・子どもたちに迷惑をかけず、自分らしい最期を迎えるために何ができるのか
このようなお悩みに対して、遺言書の作成と併せて、任意後見制度や見守り契約、死後事務委任契約などの制度を組み合わせて準備していくことが重要になります。
遺言書作成の第一歩
まず最初にお勧めしたのが、「公正証書遺言」の作成です。
公正証書遺言は、公証人という法律の専門家が関与して作成する遺言書で、紛失や改ざんのリスクが少なく、家庭裁判所の検認手続きも不要という利点があります。
A様は、「子どもたちはそれぞれ自分の生活で忙しいので、相続のことで揉めたり、手続きを面倒に思ったりしてほしくない」というお気持ちをお持ちでした。
そのため、次のような内容の遺言書の作成をご提案しました。
・所有する自宅不動産を長男に相続させる
・預貯金は子ども二人に等分で相続させる
・遺言執行者として行政書士を指定し、スムーズな手続きを図る
・付言事項として「母を大切にしてくれた感謝と、父からの想い」を記す
付言事項は法的効力こそありませんが、残されたご家族に対する“最後のメッセージ”として、精神的な効力が非常に高いです。
任意後見契約で「もしも」に備える
高齢期になると心配なのが「認知症」や「判断能力の低下」です。
元気なうちに備えておくべき制度が「任意後見契約」です。
A様にも「万一のときに誰が財産管理をするのか」「介護施設の入所手続きや日常生活の契約を誰が代行するのか」など、現実的な想定をお話しし、信頼できる人と任意後見契約を結ぶことをご提案しました。
任意後見人には、信頼できる親族や専門職(行政書士など)を指定できます。A様の場合はお子様がいらっしゃり、今後の面倒はお子様に見てもらいたいとの要望なので、お子様を任意後見人としての任意後見契約を希望されました。
見守り契約・死後事務委任契約の併用
任意後見契約とあわせてご検討いただきたいのが、「見守り契約」と「死後事務委任契約」です。
お子様が任意後見人の場合は特段必要ないですが、おひとりさまで任意後見人を私のような士業にお任せいただく場合は、ぜひ検討頂きたいところです。
見守り契約とは?
これは、定期的な連絡や訪問によって、元気な間も生活の状況を確認する契約です。孤独死のリスクを減らし、何か異変があったときにすぐに対応できるようになります。
死後事務委任契約とは?
死亡後の手続き(火葬・納骨・役所届出・公共料金の解約など)を、あらかじめ信頼できる第三者に委任しておく契約です。
遠方に住むご家族にとっては非常に助かる制度です。
高齢者の終活における総合的な支援とは?
終活とは、「死の準備」ではなく「これからの人生を安心して生きるための準備」です。
元気なうちに、
・財産の整理
・住まいの見直し
・契約関係の整理
・家族への感謝の気持ちの表現
をしておくことで、心穏やかな毎日が送れるようになります。
当事務所では、行政書士として、また上級相続診断士として、単なる書類作成だけでなく、ご本人の思いやご家族の事情をふまえた「人生設計」のお手伝いをしています。
まとめ:あなたの「これから」を一緒に考えませんか?
70代という人生の後半は、第二のスタート地点でもあります。
「まだ早い」「もう遅い」と思わず、今この瞬間からできることを始めることが、安心と納得の人生につながります。
「遺言書を作ってみようか」「後見制度のことを詳しく知りたい」「相続のことで子どもに迷惑をかけたくない」
そんなお気持ちが少しでもあるなら、まずはお気軽にご相談ください。
ご相談・お問い合わせはこちらまで
行政書士オフィス未来計画
電話番号:03-3552-6332
メールアドレス:info@future-design.info
どんな小さなことでも構いません。あなたの“未来の計画”を一緒に考えさせてください。
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