一般事業主行動計画の策定と公表について
こんにちは、東京都中央区の行政書士・補助金コンサルタントの山田です。
今回は、「中小企業新事業進出促進補助金」の申請を検討されている皆様にとって、実は重要な要件の一つである「一般事業主行動計画の策定と公表」について、制度の概要から実務的な進め方までをわかりやすく解説してまいります。
目次
- ○ 一般事業主行動計画とは? ― 次世代法に基づく企業の義務
- ○ なぜ補助金申請で「行動計画」が必要なのか?
- ○ 行動計画策定のステップ
- ・1. 現状の把握
- ・2. 計画期間の設定
- ・3. 数値目標・行動内容の設定
- ・4. 計画の策定と社内周知
- ・5. 公表と届け出
- ○ 補助金申請とあわせて進めるべき理由
- ○ よくある質問(FAQ)
- ○ まとめ ― 今こそ、「人を大切にする経営」を実践する好機
一般事業主行動計画とは? ― 次世代法に基づく企業の義務
「一般事業主行動計画」とは、次世代育成支援対策推進法(通称:次世代法)に基づき、企業が職場における子育て支援などを目的として自主的に取り組むべき目標や具体的な行動内容をまとめた計画のことです。
具体的には、
・育児休業の取得促進
・所定外労働の削減
・男性の育児参加の促進
・子育てと仕事の両立支援
といった内容を含む計画を策定し、労働者に周知するとともに、厚生労働省が開設する「両立支援のひろば」等で公表することが求められます。
この制度は、従業員101人以上の企業には義務とされ、100人以下の中小企業には努力義務とされていますが、「中小企業新事業進出促進補助金」の申請においては、この計画の策定と公表が実質的な前提条件となっているのです。
なぜ補助金申請で「行動計画」が必要なのか?
中小企業新事業進出促進補助金は、その名のとおり、既存事業に加えて新たな事業展開を目指す中小企業を対象とした支援制度です。
国はこうした支援を行うにあたって、単に「売上向上」や「新商品開発」だけでなく、社会全体にとって持続可能な経営、すなわち「人的資本」や「働き方改革」に配慮した経営を後押しする姿勢を鮮明にしています。
その象徴が、この「一般事業主行動計画」の策定です。計画を策定・公表することで、企業が次のような姿勢を示すことになります:
・従業員の働きやすさを真剣に考えている
・育児・介護と仕事の両立を支援する体制がある
・持続可能で人にやさしい経営を目指している
このようなメッセージを、申請書を通して国に伝えることができるのです。
行動計画策定のステップ
では実際に、どのようにして「一般事業主行動計画」を策定・公表するのか、ステップごとに確認していきましょう。
1. 現状の把握
まずは自社の現状分析から始めます。
・育児休業取得者はいるか?
・所定外労働の実態は?
・就業規則に両立支援の項目はあるか?
この現状把握が、課題を明確にする第一歩です。
2. 計画期間の設定
通常、2年間程度の中期計画として策定するのが一般的です。
例:2025年4月1日~2027年3月31日
3. 数値目標・行動内容の設定
厚生労働省のサンプル様式に沿って、以下のような目標と行動内容を設定します。
例:
・育児休業取得率の向上(男性社員にも対象を広げる)
・所定外労働時間の月平均20時間以下への抑制
・テレワーク制度の試験導入 など
4. 計画の策定と社内周知
完成した行動計画を社内に周知(掲示や社内メール等)し、経営者の意思として全従業員に共有します。
5. 公表と届け出
最後に、計画を以下のサイトから登録・公表します。
▶「両立支援のひろば」
https://ryouritsu.mhlw.go.jp/
登録はWebフォームに必要事項を入力する形で、比較的簡便に済みます。
補助金申請とあわせて進めるべき理由
補助金の申請は、単に書類を整えるだけでは採択されません。国が求める「経営改善」「人材育成」「働き方改革」などのテーマに沿って、総合的なビジネスの進化を提案できるかどうかがカギとなります。
この「一般事業主行動計画」は、そうした観点から非常に重要な意味を持つ取り組みです。
特に次のような企業には、申請前の準備段階から計画策定を強くおすすめします。
・新規事業で新たな雇用を創出する予定の企業
・子育て世代の人材を積極採用する方針の企業
・テレワークや時短勤務制度を整備中の企業
申請書に「行動計画の概要」や「従業員定着・人材活用のための施策」として盛り込むことで、申請全体の説得力が増し、加点対象になる可能性もあります。
よくある質問(FAQ)
Q:社員数が10名未満でも行動計画を作成すべき?
A:はい。法的な義務はありませんが、補助金の申請においては「企業としての姿勢」を示す意味でも有効です。特に女性活躍推進や若手採用を掲げる場合は、計画の存在がプラスに働きます。
Q:計画内容に決まりはある?
A:基本的には、厚労省の提供する様式例に沿って策定することが推奨されます。ただし、自社の実態や課題に応じた自由な記述も認められています。
Q:計画を作って終わり?
A:いいえ。定期的な進捗確認や、必要に応じた見直しが重要です。計画を「絵に描いた餅」にしないよう、実行体制の構築が求められます。
まとめ ― 今こそ、「人を大切にする経営」を実践する好機
中小企業にとって、補助金は経営を加速させる強力なツールです。しかし、そのチャンスを最大限に活かすには、「社会的責任」や「働き方改革」に対する企業姿勢を同時に示すことが不可欠です。
そのためにも、「一般事業主行動計画」は単なる添付書類ではなく、「未来志向の企業である」という証明書でもあるのです。
補助金申請の際には、事業計画書の中にこの計画をうまく組み込み、自社の魅力と社会的意義を同時に伝えることが、採択への近道となるでしょう。
当オフィスでは、補助金申請に必要な事業計画書の策定支援などをトータルでサポートしています。
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このようなご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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