70代女性の相続対策|家族信託・任意後見契約・公正証書遺言
こんにちは、東京都中央区の行政書士・上級相続診断士の山田です。
本日は、70歳台の女性の方からご相談を受けた事例をもとに、将来の相続トラブルを防ぐために有効な手段として、家族信託・任意後見契約・公正証書遺言の活用をご紹介します。
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目次
- ○ ご相談者の状況と背景
- ○ 長男と次男への思いと不安
- ○ 家族信託の活用
- ○ 任意後見契約の活用
- ○ 公正証書遺言の重要性
- ○ 遺留分への対応
- ○ 今からできることとまとめ
- ○ 最後に
ご相談者の状況と背景
ご相談いただいたのは、70歳代の女性の方です。ご主人は数年前に他界され、現在は一人暮らしをされています。相談者様は、いわゆる名家の本家の長女であり、親から相続した不動産を多く所有しています。
具体的には、自宅としてお住まいの一戸建て1件のほかに、一戸建てが4件、アパートが2棟あります。自宅以外の不動産は賃貸に出しており、毎月の賃料収入を得ています。また、相談者様名義の預貯金も1億円弱と、非常に大きな財産をお持ちです。
ご主人が亡くなった際には、ご主人名義の預貯金を長男が全て持って行ってしまったという苦い経験があったとのことです。その経緯から、相談者様としては、「自分の財産は次男に全て相続させたい」という強い思いをお持ちです。
長男と次男への思いと不安
相談者様には、長男と次男のお二人の息子がいらっしゃいます。長男は、ご主人が亡くなった際に遺産を全て自分のものにしてしまい、相談者様との関係もぎくしゃくしています。一方、次男は相談者様の生活を心配してくれ、こまめに連絡を取るなど親身に支援しているそうです。
こうした背景から、「自分の財産を次男に全て残したい」と考えています。しかし、日本の法律では、たとえ親が特定の子に相続させたいと考えていても、遺留分という最低限の取り分を長男が請求できる制度があります。このため、相談者様の希望を実現するには、法的に有効な手続きが必要です。
家族信託の活用
まずご提案したのは、「家族信託」の活用です。家族信託とは、信頼できる家族に財産の管理・運用を託す仕組みです。
相談者様が信頼する次男を受託者として、所有する賃貸不動産の管理を信託契約で任せることができます。これにより、相談者様が高齢で判断能力が低下た場合には入居者募集から始まる契約行為ができなくなるので、家族信託により次男を受託者として適切に資産管理を行うことができます。
家族信託では、「誰にどの財産を最終的に承継させるか」も契約の中で明確に決めることができるため、相談者様の「全て次男に」という思いを反映できます。
ただし、家族信託は万能ではありません。例えば、不動産の名義が信託に移るため、名義変更に伴う登記費用や専門家への報酬などのコストがかかる点は注意が必要です。また、遺留分の請求を完全に排除することはできませんが、家族信託を利用することで財産の管理・運用が円滑に進むメリットは大きいです。
任意後見契約の活用
次に、「任意後見契約」も併せてご提案しました。任意後見契約は、将来自分の判断能力が低下した際に備えて、信頼できる人(例えば次男)に後見人としての役割をあらかじめ依頼しておく制度です。
家族信託にて信託する財産以外も、任意後見契約を結ぶことで、万が一相談者様が認知症などで判断能力を失ったとしても、次男が相談者様の意思を尊重しながら財産管理を行えます。
これにより、悪意を持つ第三者が財産に手を出すリスクを減らせるだけでなく、相談者様自身も安心して暮らせます。
任意後見契約は公正証書で作成する必要がありますので、専門家に相談することが重要です。
公正証書遺言の重要性
「次男に全て相続させたい」という相談者様の最終的な希望を確実に実現するために、欠かせないのが「公正証書遺言」です。
公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成するため、形式の不備などによる無効リスクがほとんどありません。公証人と証人の立会いのもとで作成されるため、偽造や改ざんのリスクも極めて低いのが特徴です。
遺言書には、財産の具体的な分け方(誰に何を相続させるか)を明記します。相談者様の場合、「自宅・一戸建て・アパート・預貯金全てを次男に相続させる」と記載する形になります。これにより、長男が「母の財産も相続する権利がある」と主張しても、遺言の内容を尊重する形で相続が進みやすくなります。
遺留分への対応
ここで問題になるのが、長男の「遺留分」です。遺留分とは、配偶者や子どもに保障された最低限の取り分です。長男には本来、財産の4分の1(兄弟が2人の場合)に相当する遺留分を請求する権利があります。
この遺留分を完全に無くすことはできません。しかし、以下の方法で紛争を防ぐ工夫は可能です。
・遺留分に相当する現金を用意しておく(現金で渡す代わりに不動産を守る)
・あらかじめ長男と話し合いをする(感情的な対立を緩和)
当オフィスでは、こうした調整も含めてサポートしています。
今からできることとまとめ
相談者様は、すでに多くの財産をお持ちです。しかし、想いを実現するためには、
・家族信託の設計
・任意後見契約の締結
・公正証書遺言の作成
の3本柱で準備を進めることが重要です。特に、任意後見契約や公正証書遺言は公証役場での手続きが必要ですので、早めに動くことが安心につながります。
最後に
「私の財産を次男に全て残したい」
「家族のトラブルを避けたい」
「家族信託や後見、遺言の手続きをどう始めたらいいか分からない」
そのような方は、ぜひお気軽にご相談ください。
当オフィスでは、家族信託・任意後見契約・公正証書遺言の作成をトータルでサポートしています。ご相談は完全予約制で、秘密厳守をお約束いたします。
お電話:03-3552-6332
メール:info@future-design.info
ご相談お待ちしております。
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