任意後見契約で安心な老後を実現
こんにちは、東京都中央区の行政書士・上級相続診断士の山田です。
今回は、70歳台後半の男性のご相談を受けた事例をもとに、認知症リスクや介護施設入所時の金銭管理に備えた「任意後見契約」について詳しくお話しします。
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目次
- ○ ご相談内容の概要
- ○ 介護や認知症リスクに潜む「資産管理の不安」
- ○ 法定後見制度だけではカバーできない部分
- ○ 「任意後見契約」とは?家族に安心して任せる仕組み
- ○ 息子さんと結ぶ任意後見契約のメリット
- ○ 任意後見契約の作成にかかる費用と流れ
- ○ 任意後見契約と併せて検討したい「遺言書」
- ○ まとめ:任意後見契約は「元気な今こそ」考えるべき
ご相談内容の概要
ご相談者様は、70歳台後半の男性。
奥様はすでにお亡くなりになっており、お子様は40歳代の一人息子さんです。
ご自宅としてお住まいの港区のマンションは、70平方メートルほどの広さで、時価1億円以上の価値があると推測されています。
一方、預貯金は500万円程度と、それほど多くはありません。
「今は元気に暮らしているが、もし自分が認知症になったり介護が必要になったときに、マンションやお金の管理を息子に任せたい」というお気持ちを強くお持ちでした。
介護や認知症リスクに潜む「資産管理の不安」
70歳を過ぎると、どうしても体力や判断力が衰えてきます。
とくに認知症になると、自分で財産を管理することが難しくなり、不動産の売却や金融機関の手続きが一切できなくなることがあります。
しかも、今回のご相談者様のように、預貯金が少なく、介護施設入所などの際に「すぐに使えるお金」が不足しがちなケースでは、マンションを売却して現金化する必要が生じる可能性があります。
しかし、認知症を発症すると、たとえ実家のマンションを売りたいと思っても、本人の意思確認ができないため、売却手続きは基本的にストップします。
この状態で必要なのが「後見制度」です。
法定後見制度だけではカバーできない部分
認知症を発症してからは、家庭裁判所に「法定後見」を申し立てるしかありません。
しかし、法定後見制度は以下のような注意点があります。
・家庭裁判所が後見人を選任するため、必ずしも息子さんが後見人になれるとは限らない
・裁判所の監督が厳格で、毎年の報告義務などの負担が大きい
・申立てには一定の時間がかかるため、すぐに施設入所のためのマンション売却などができない
このように、「家族に任せたい」と思っていても、思いどおりにいかないリスクがあります。
「任意後見契約」とは?家族に安心して任せる仕組み
そこでおすすめしたいのが、任意後見契約です。
これは、認知症などの判断能力の低下に備えて、「まだ元気なうちに」後見人を自分で選び、公正証書で契約する制度です。
具体的には、以下のような流れになります。
・相談・検討
任意後見人(通常は信頼できる家族)に、将来の財産管理や生活支援を任せたい内容を決める。
・契約締結
公証役場で公正証書を作成し、正式に「任意後見契約」を結ぶ。
この時点では、後見人の権限は発生しません(まだ元気だからです)。
・任意後見監督人選任の申立て
実際に認知症などで判断能力が低下した場合、家庭裁判所に「任意後見監督人の選任」を申立てる。
監督人が決まった後、任意後見契約が発効します。
この仕組みによって、「元気なうちに、誰に何を任せるかを決めておける」ことが大きな安心につながります。
息子さんと結ぶ任意後見契約のメリット
ご相談者様の場合、息子さんが後見人になる任意後見契約を結ぶことを強くおすすめしました。
具体的なメリットは以下のとおりです。
・ 自分で決めた後見人なので、信頼して任せられる
・ マンションの売却や介護施設の入所手続きなどを、スムーズに進められる
・ 法定後見のような「見知らぬ第三者が後見人になる」不安がない
・ 監督人は裁判所が選任するので、不正防止も担保される
・ 元気なうちに契約内容をしっかり決められる
とくに、今回のケースでは預貯金が少ない分、将来的にマンションを売却して介護資金を確保する必要性が高いので、任意後見契約は必須の備えだと言えます。
任意後見契約の作成にかかる費用と流れ
任意後見契約は、公正証書として作成する必要があり、費用がかかります。
概算としては以下の通りです。
・公証人手数料:数万円程度(内容による)
・行政書士などの専門家への報酬:10万円程度
また、内容をしっかり詰めておく必要があるので、以下のステップで進めます。
・ 相談・ヒアリング(息子さんも同席するのがおすすめ)
・ 任意後見契約の文案を作成
・ 公証役場で公正証書として作成
・ 将来の「監督人選任申立て」に備えて、書類や内容を整理しておく
任意後見契約と併せて検討したい「遺言書」
さらに、今回のご相談者様のように相続財産としてマンションの価値が高い場合は、任意後見契約に加えて公正証書での「遺言書」の作成も強くおすすめしています。
・息子さんへの相続を円滑にする
・認知症後に「意思確認ができない」ため、遺言書がないと法定相続分で分けざるを得ない
・相続税対策や争族トラブルの防止になる
このように、任意後見契約と遺言書をセットで考えることで、老後の安心と家族への想いの実現がグッと近づきます。
まとめ:任意後見契約は「元気な今こそ」考えるべき
今回のご相談から見えてくるポイントをまとめます。
・ マンションなどの資産が大きい場合、認知症になると管理が困難になる
・ 介護施設入所や医療費のための資金準備として、資産の売却も必要になる
・ 任意後見契約は、信頼できる家族に自分の意思で財産管理を任せる最良の仕組み
・ 遺言書の作成も併せて進めることで、相続までスムーズに準備できる
「まだまだ元気だから…」と先延ばしにせず、今こそ準備をはじめることが、将来の安心につながります。
当オフィスでは、任意後見契約・遺言書の作成などをトータルにサポートしています。
「自分が元気なうちにしっかり準備をしたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
📞 電話番号:03-3552-6332
📧 メールアドレス:info@future-design.info
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