Information お知らせ・お役立ち情報

Information

HOME//お知らせ・お役立ち情報//生活保護制度の全理解―行政書士が解説

遺言書作成・相続手続・成年後見

生活保護制度の全理解―行政書士が解説

granny woman senior elder elderly 1280445

 

こんにちは、東京都中央区の高齢者に優しい行政書士の山田です。


近年、年金だけでは生活が成り立たないという高齢者の方が増えています。物価の上昇、医療費や介護費の負担、家賃や光熱費の高騰などにより、国民年金だけでは最低限の生活を維持することが難しくなっています。こうした中で、生活の基盤を守るための最後のセーフティネットとして存在するのが「生活保護制度」です。


しかし、制度の内容が複雑であったり、「申請しても断られるのではないか」「恥ずかしい」「周囲に知られたくない」といった不安から、必要であっても申請をためらう方が多いのも現実です。


この記事では、行政書士として生活保護の相談を数多く受けてきた立場から、生活保護制度の概要、申請の流れ、提出すべき書類、そして注意すべきポイントをすべて文章でわかりやすくご説明します。


お問合せはこちらから!

目次

1.生活保護制度とは何か

生活保護とは、生活に困窮している人が、憲法第25条に定められた「健康で文化的な最低限度の生活」を営むことができるように、国と自治体が援助を行う制度です。

生活保護法第1条には、この制度の目的が明記されており、「生活に困窮するすべての国民に対し、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長すること」とされています。

つまり、生活保護は「援助」ではなく、国民が持つ「権利」です。
病気や高齢、失業、障害、家庭環境など、さまざまな理由で生活が困難になった人を支える仕組みであり、特別な人だけが受けられる制度ではありません。

生活保護の理念は、単にお金を支給することではなく、生活の再建と自立を目的としています。支援を受けながら、健康を取り戻したり、働く環境を整えたりすることで、将来的に自立できるようサポートすることが基本的な考え方です。

2.生活保護の原則と考え方

生活保護制度にはいくつかの基本原則があります。

第一に「国家責任の原理」です。これは、生活保護を国の責任において実施するという考え方です。自治体が窓口になっていますが、国が財政的にも制度的にも責任を負っています。

第二に「無差別平等の原理」です。性別、年齢、国籍(永住・定住資格者を含む)、過去の職業などにかかわらず、困窮している人であれば誰でも保護を受けることができます。

第三に「最低生活保障の原理」です。健康で文化的な最低限度の生活を維持できるように、生活費を保障します。この「最低生活」の基準は、厚生労働省が定めた基準に基づいて計算されます。

第四に「補足性の原理」があります。これは、自分の努力や他の制度を活用してもなお生活できない場合に、初めて生活保護を適用するという考え方です。つまり、働ける人は働き、資産があれば活用し、家族の支援を受ける努力をした上で、それでも足りないときに国が支えるという仕組みです。

3.生活保護の種類

生活保護は一種類のお金の支給ではなく、生活状況に応じて複数の「扶助(ふじょ)」が組み合わされて行われます。

まず、最も基本となるのが「生活扶助」です。これは食費、衣類、光熱費など日常生活に必要な費用を補うものです。

次に「住宅扶助」があり、家賃や地代、更新料などを支援します。

また、「医療扶助」は病院の治療費を支援し、自己負担なく診療を受けられるようにします。

高齢者や障害者など介護が必要な方には「介護扶助」があります。

その他にも、出産費用を支援する「出産扶助」、就職や技能習得のための費用を助成する「生業扶助」、子どもの教育に関する「教育扶助」、そして葬儀の際に必要な費用を支援する「葬祭扶助」があります。

このように、生活保護は単に生活費を支給する制度ではなく、生活全体を支える包括的な仕組みになっています。

4.生活保護の対象になる人

生活保護は「世帯単位」で判断されます。
同じ家に住み、生活費を共有している人は同一世帯とみなされ、その世帯の収入や資産全体で判定されます。

たとえば、一人暮らしの高齢者が月6万円の国民年金を受け取っていても、国の定める最低生活費(地域によって異なります)が13万円であれば、不足分の7万円が支給されます。
一方、家族と同居している場合は、その家族の収入や支援の有無も考慮されます。

ただし、家族がいても経済的援助が期待できない場合や、DV・虐待などで連絡を取りたくない事情がある場合は、扶養照会を省略して申請することもできます。

5.申請の流れ

生活保護の申請は、市区町村の福祉事務所(生活支援課、生活福祉課など)で行います。

まずは窓口で生活に困っている状況を相談しますが、このときに重要なのは「相談に来ました」ではなく「生活保護の申請をしたいです」と明確に伝えることです。

これは非常に大切なポイントで、生活保護法第7条により「申請の意思を示した人に対して、福祉事務所は申請を受理しなければならない」と定められているからです。

申請書は窓口で渡されますが、自治体のホームページから印刷して記入して持参することも可能です。

書類を提出した後、ケースワーカーが自宅を訪問し、生活実態や資産、収入、健康状態などを調査します。
銀行口座の残高や年金の受給状況、住居の契約内容なども確認されます。

その後、福祉事務所は14日以内(最長30日以内)に可否を決定し、結果を文書で通知します。
生活保護が開始されると、翌月から生活扶助費などの支給が始まり、医療機関で自己負担なく診療を受けられるようになります。

6.申請時に提出すべき書類

申請時には、本人や世帯の状況を確認するためにさまざまな書類を提出します。

まず本人確認のために、マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証などの身分証を提出します。外国籍の方は在留カードが必要です。
同居家族がいる場合は、世帯全員が記載された住民票の写しも添付します。

収入を確認するためには、年金証書や年金振込通知書を提出します。国民年金、厚生年金、企業年金、遺族年金などすべてが対象です。
預貯金については、通帳を全ページコピーし、直近の入出金状況を確認できるようにします。
もし仕送りやアルバイトなど他の収入がある場合は、振込明細や給与明細を添付します。

資産の有無を確認するために、不動産を所有している方は固定資産税の納税通知書や登記事項証明書を提出します。
自動車を所有している場合は車検証を提出し、原則として手放す必要がありますが、通院や介護など特別な事情がある場合は例外が認められることもあります。
生命保険や個人年金に加入している場合は、保険証券や解約返戻金証明書を用意します。

住まいに関する資料として、賃貸借契約書や家賃の領収書を提出します。家賃の支払いを銀行振込で行っている場合は、その明細を添付します。
また、電気・ガス・水道などの公共料金の請求書も居住実態を証明する資料となります。

健康や医療に関する資料としては、健康保険証、介護保険証、要介護認定証、障害者手帳、診断書などがあります。
持病や通院がある場合には、病状を証明する診断書を提出しておくと、医療扶助の判断がスムーズになります。

これらの書類が全てそろっていなくても、申請は可能です。足りない書類は後日提出すればよく、役所には申請を受理する義務があります。

7.申請後の調査と決定

申請後は、ケースワーカーが家庭訪問を行い、生活の実態を確認します。
「どのような生活をしているのか」「支出の内容」「健康状態」「親族からの援助の有無」などを細かく確認されます。
これは不正を疑うためではなく、適切な保護を行うための大切なプロセスです。

銀行や保険会社、年金事務所などにも必要に応じて照会が行われます。
この調査をもとに、福祉事務所が保護の要否を判断します。
審査期間は通常2週間から1か月程度です。

保護が認められた場合は「保護決定通知書」が交付され、保護が開始されます。
不承認の場合は「却下通知書」が届き、理由が書かれています。内容に納得できない場合は、不服申立(審査請求)をすることができます。

8.生活保護を受ける際の注意点

生活保護を受けることになった場合、いくつかの義務や注意点があります。

まず、収入や生活状況に変化があった場合は、すぐに役所へ届け出る必要があります。年金額の変更、アルバイト収入、仕送り、引越し、入院など、いずれも報告が必要です。

また、生活保護費はあくまで生活のための支援金です。借金の返済や贅沢品の購入などには使えません。
車の購入や海外送金も原則として認められません。

働ける人はできる範囲で働くことが求められます。これは義務ではなく、自立支援の一環です。
高齢者の場合は、健康状態を保ちながら地域の支援サービスや介護サービスを利用し、安心して生活できるような支援を受けることができます。

9.申請をためらわないでください

生活保護の申請をためらう方の多くは、「恥ずかしい」「世間の目が気になる」とおっしゃいます。
しかし、生活保護は誰にでも起こりうる人生の一局面であり、権利として認められた制度です。

長年、税金や年金を納めてきた方であれば、生活保護を受けることを後ろめたく感じる必要はまったくありません。
生活保護は「国民が支え合う社会保障制度」の一つであり、困ったときに助け合うための仕組みです。

また、申請をしたからといって必ずしも受給が決まるわけではなく、調査の結果をもとに公平に判断されます。
そのため、まずは「申請する」という行動を起こすことが第一歩です。

10.専門家に相談することのメリット

生活保護の手続きは、書類も多く、内容も複雑です。
特に高齢者の場合は、体調が悪かったり、必要書類を自分で集めるのが難しいこともあるでしょう。
そうした場合、行政書士などの専門家に相談することで、手続きの負担を大きく減らすことができます。

行政書士は、生活保護申請のサポートや申請書の作成補助、添付書類の整理などを行い、必要に応じて窓口への同行も可能です。

また、役所での説明が不十分な場合や、申請を受け付けてもらえない「水際対応」に遭遇した際の対応についてもアドバイスできます。

11.まとめ 〜安心して申請するために〜

生活保護は、誰にでも申請する権利がある制度です。
高齢者の方、特に国民年金だけで暮らしている方にとっては、生活を安定させるための大切な支えとなります。

申請の際には、マイナンバーカードや年金証書、通帳、住民票、賃貸契約書などの基本的な資料を準備しておくとスムーズです。
書類がすべてそろっていなくても、申請の意思を明確に伝えれば受理されます。

大切なのは、「一人で抱え込まない」ことです。
困ったときは、専門家や自治体に相談してください。
生活保護は恥ずかしい制度ではなく、「生きるための仕組み」です。
あなたの人生を守るために用意された正当な権利なのです。

もし、生活保護の申請でお悩みの方、手続きが難しいと感じる方、あるいは役所での対応に不安を感じている方がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

行政手続の専門家として、申請書作成から窓口同行まで丁寧にサポートいたします。

生活保護の申請は、あなたの生活を守るための大切な第一歩です。安心して進めていきましょう。

電話番号は 03-3552-6332
メールアドレスは  info@future-design.info

あなたの未来計画を応援します!

SHARE
シェアする
[addtoany]

お知らせ・お役立ち情報一覧