相続放棄、相続譲渡証明書と遺産分割協議書

こんにちは、東京都中央区の行政書士・上級相続診断士の山田です。
今回は、70歳代の女性からご相談をいただいた相続手続に関する事例をもとに、相続人の中に「財産は不要」と考えている方がいる場合に、どのような手続を選ぶのがよいのかをテーマに詳しく解説してまいります。
この記事をお読みいただくことで、「相続譲渡証明書を用いた手続と、遺産分割協議書の工夫によって対応する方法の違い」や、「どちらの方法を選択すべきかの判断基準」を理解していただけるはずです。
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目次
- ○ ご相談内容の概要
- ○ 相続人が「いらない」と言っている場合の選択肢
- ・方法1:相続譲渡証明書を提出する
- ・方法2:遺産分割協議書に「相続分なし」と記載する
- ○ 本件の場合の実務的なおすすめ
- ○ 相続放棄との違いに注意
- ○ 実際の遺産分割協議書作成のポイント
- ○ 手続のご相談はお早めに
- ○ まとめ
ご相談内容の概要
相談者であるA様(70歳代・女性)は、配偶者に先立たれており、お子様はいらっしゃいません。ご家族は、お姉様と、5年前に亡くなられた妹様がおられ、妹様には2人のご子息(つまりA様から見れば甥・姪)がいらっしゃいます。
2025年2月、A様のお母様が他界されたことで相続が発生。被相続人であるお母様の主な財産は、ご自宅のマンションとのことです。
この場合の法定相続人は以下の通りとなります:
・長女(相談者の姉)
・次女(相談者ご本人)
・三女(故人)の代襲相続人として、甥・姪の2名
合計4名が相続人となります。
ここでポイントとなるのが、「妹の子ども(甥と姪)の2人は、相続財産は不要です」との意思を明らかにしている点です。
相続人が「いらない」と言っている場合の選択肢
相続において、法定相続人が「自分は相続財産を受け取らなくて良い」と意思表示することは、実務上よくあります。その場合に取り得る主な方法は2つです。
方法1:相続譲渡証明書を提出する
相続譲渡証明書とは、自分の相続分を特定の相続人に「譲渡する」ことを記載した文書です。形式は自由ですが、実印と印鑑証明書の添付が必要となるため、法的拘束力のある書面として機能します。
【メリット】
・単独で譲渡の意思を明示できる。
・遺産分割協議書の当事者数を減らせる可能性がある。
【デメリット】
・譲渡税の問題が生じることがある(原則非課税ですが、場合により課税の可能性)。
・譲渡対象の相続人を明記する必要がある。
・書式の整備や実印・印鑑証明の取得が必要。
方法2:遺産分割協議書に「相続分なし」と記載する
もう一つの方法は、通常の遺産分割協議書の中で「○○の相続分は一切取得しない」と明記する方法です。実際には法定相続人全員が署名・押印し、「話し合いの結果として相続しない」ことを合意するスタイルです。
【メリット】
・協議の結果として円満にまとめられる。
・相続税の申告のうえでもわかりやすい。
・実務上も多く使われている形式であり、登記や金融機関の手続きでもスムーズ。
【デメリット】
・全員が協議書に署名・押印する必要がある。
・相続放棄や相続放棄のような効力を持たせるには、あくまで「合意」であることが前提。
本件の場合の実務的なおすすめ
今回のご相談に関して、私は「遺産分割協議書の中で、甥・姪の相続分は無しと記載する方法」をおすすめします。
なぜなら、
・甥・姪の2人も含めた4人全員で協議が成立していること。
・争いがなく、円満にまとまっている。
・不動産登記や金融機関の手続においても、実務上もっとも受け入れられやすい形式であること。
が挙げられます。
このような遺産分割協議書であれば、「被相続人○○の相続財産について、法定相続人○○と○○の相続分はこれを一切取得せず、残る○○および○○がすべてを取得する」という形式で問題なく手続を進めることができます。
相続放棄との違いに注意
なお、ここで注意したいのは、家庭裁判所で行う「相続放棄」との違いです。
相続放棄は、
・相続開始を知ってから3ヶ月以内に、
・家庭裁判所に申し立てて、
・相続の一切を放棄する
という手続であり、遺産分割協議とはまったく別の制度です。
今回のように、相続は不要だが、家庭裁判所を使うほどではないというケースでは、遺産分割協議書での対応が現実的かつ合理的といえるでしょう。
実際の遺産分割協議書作成のポイント
実務では、以下の点に注意して遺産分割協議書を作成します。
・相続人の確定と戸籍謄本類の収集
・相続財産の一覧(不動産、預貯金、有価証券など)
・各相続人の取得割合や内容を明記
・実印の押印と印鑑証明書の添付
・不動産がある場合は、登記原因証明情報との整合性
手続のご相談はお早めに
相続手続は、「誰が何をどのように相続するのか」という内容を明確な文書にして残すことが必要です。そして、特に不動産や金融資産の名義変更の際には、書類の不備や誤解によって時間と費用がかかってしまうこともあります。
今回のようなケースでは、専門家のアドバイスに基づき、どの形式が適しているのかを判断することが大切です。
まとめ
相続人の中に「財産はいらない」と言う人がいる場合、選べる手続きには2つあります。
・相続譲渡証明書を作成する方法
・遺産分割協議書で「相続分なし」とする方法
本件のように、争いがなくスムーズに話がまとまっている場合は、遺産分割協議書で対応するのが現実的かつ合理的です。
ご相談は「行政書士オフィス未来計画」まで
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